Isotope Science Center
The University of Tokyo

東京大学アイソトープ総合センター

トピックス

2019.04.08

教養学部前期課程における系統講義を開催

アイソトープ総合センターを中心とする、放射線研究の最先端を紹介するために、今年度もSタームにおいて系統講義を開催します。第一回は4月9日火曜一限で、518番講義室(駒場第一キャンパス)において実施します。

【講義題目】

「放射線影響と利用 〜放射線に対する生物応答の分子機序と放射線利用の最先端〜」

【内容】

アイソトープ総合センターは放射線研究を推進する学内の拠点であり、生体や物体の内部構造を可視化するイメージングと、ヘリウム原子核からなるα線を放出する核種を使った新たな医薬品開発を中心的な課題とする。また、これらの研究に用いる放射性同位元素を製造する加速器研究者との連携も進展している。何れも従来の学問領域の境界を越えた知識と技術の融合によって、新たな価値を生み出そうとする試みであり、生命科学から数理科学に亘る広範な研究者が互いの言葉を理解しなければならない。イメージングには、放射性同位元素を製造する加速器技術や、可視化に必要な分析装置の開発が必要であり、α線医薬品開発には核種の製造、放射化学にもとづく精製、医薬品とするためのドラッグデリバリーシステムの開発や、動物モデルを作り出す生命科学、可視化に必要な核医学の智恵が必要である。また、放射線に対する生体の応答を最先端の手法で解析し、原子力発電所事故の被災自治体における健康管理へ役立て、生命科学領域での新たな発見も得られている。このような放射線研究の全貌を把握する系統的機会は少なく、本講義において多様な視点を平易に解説する。

【計画】

イメージング研究と、α線放出核種を使った新たな医薬品開発には、多様な生命科学的手法が関わっている。アイソトープ総合センターにはそれぞれ異なる専門領域を有する教員が配置されており、分子生物学、ゲノム・エピゲノム科学、分析化学、質量分析、イメージング等についてそれぞれセンターの教員が担当する。さまざまな角度から放射線に関する講義を行うことにより、従来の固定的な理解にとらわれず、現実問題に即した授業を行う予定である。また、最終回には、実際の放射線測定を理解する簡単な演習を予定しているので、特に出席することが望ましい。

【目標】

東京大学では放射線に関して、生命科学から工学、物理学、数理科学まで広範な領域にわたる研究が行われている。全学センターとしてアイソトープ総合センターはその拠点となり、学内の放射線利用者への教育と同時に、放射線を使った先端的研究が行われている。学外に向けては原子力発電所事故の被災自治体や地元教育研究機関と協力して、除染・測定を含む学術的活動を継続的に行い、帰還を支援している。当センターはこれらの活動を通じて、被災地住民にとって真に重要な課題を明らかにし、これに取り組むために従来の学問の限界や枠組みを押し広げる努力を行っている。放射線影響、特に低線量の内部被ばくメカニズム解明やそれに対する防護については未知の点が多く、集学的な対応が必要であることから、その全貌を把握する系統的機会は少ない。そこで、本講義においては可及的に多様な視点から放射線が生体に及ぼす現象平易に解説することを目的とする。また、当センターは放射線を製造する加速器研究者や、分析装置の研究者と共に、生体イメージングや、α線核種を用いた医薬品開発を行っており、先端的なアイソトープ利用の拠点としての役割も果たしているため、最新の学問的潮流を踏まえて、放射線の有効利用の現状と次の展開についても解説することが可能である。特に、アイソトープ総合センターの教職員が取り組む研究とその成果をとりあげることにより、現実的な課題から最先端の科学研究に至るまで概観することを本講義の目的とする。
「放射線影響と利用」では、ガイダンスは第一回授業日に行う。特に前提とする予備知識を必要としないので、文系学生も受講可能である。

【キーワード】

短寿命α線放出核種、加速器、内部被ばく、環境測定、ゲノム・エピゲノム解析、イメージング、創薬

【講義予定(案)】

  1. 「放射線影響・ゲノム解析・α線医薬品・自治体支援」
  2. 「電子線の生命科学への応用」
  3. 「α線医薬品開発」
  4. 「放射線とアイソトープの基礎」
  5. 「福島原発事故由来放射性物質の環境中の挙動」
  6. 「放射線イメージング」
  7. 「放射線影響の基礎」
  8. 「低線量被ばく研究」
  9. 「質量分析計によるアイソトープの利用と研究」
  10. 「放射線等の細胞ストレスに対する応答と核内構造体」
  11. 「被災自治体における復興の現状」
  12. (予備日)
  13. 「実習とレポート」

以上