東京大学アイソトープ総合センター Isotope Science Center,The University of Tokyo

特任助教 川田 健太郎

特任助教  川田 健太郎

専門分野 ⟩⟩
放射線生物学
研究内容 ⟩⟩

放射線を含めた様々な外的ストレスは細胞に障害を引き起こし、その機能に影響を与えます。一方で、細胞は遺伝子発現などの細胞内分子の状態を変化させることで、ストレスによる障害を修復・軽減します。それでは細胞はこれらのストレスに対し、どのような分子機構で応答するのでしょうか?

遺伝子発現は細胞状態の基本的な調節因子の一つです。RNAは遺伝子発現の結果として合成され、機能的分子であるタンパク質を合成するための鋳型となります。また近年では、これらのRNAの多くがタンパク質の鋳型としてではなく、機能分子そのものとして働くことが分かってきました。言い換えると、遺伝子発現によるRNA合成はストレス応答の起点とも言えます。

細胞内でのRNA量は、合成と分解の組み合わせで決まります。近年、DNA障害を受けた細胞では一部のRNAの分解が止まることで、その量が増えるという現象が確認されました。そこで私たちは、この現象がより幅広い遺伝子で認められるのではないかと考え、RNAの合成と分解をゲノムワイドに評価する手法を開発に取り組んでいます。放射線ストレスを受けた細胞が細胞内RNAを制御して障害を修復・軽減するための分子機構を解明することで、被ばくの影響の軽減や、がんにおける放射線治療の効果増強につながると考えられます。

研究論文 ⟩⟩
  1. Reconstruction of global regulatory network from signaling to cellular functions using phosphoproteomic data. K Kawata, K Yugi, S Kuroda et al., Genes to Cells, 24(1):82-93, 2019.
  2. Trans-omic Analysis Reveals Selective Responses to Induced and Basal Insulin across Signaling, Transcriptional, and Metabolic Networks. K Kawata, A Hatano, K Yugi, S Kuroda et al., iScience, 28;7:212-229, 2018.
  3. Selective control of up-regulated and down-regulated genes by temporal patterns and doses of insulin. T Sano, K Kawata, S Ohno, S Kuroda, Science Signaling, 22;9(455):ra112, 2016.
  4. Reconstruction of Insulin Signal Flow from Phosphoproteome and Metabolome Data. K Yugi, H Kubota, K Kawata, S Kuroda, Cell Reports, 21;8(4):1171-83, 2014.
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